202号室の、お兄さん☆【完】
「ほん、本当にお兄さんには関係ないから、大丈夫です!」
あ……。
ぽかんとす、る、お兄さん。
どんどん寂しそうに瞳を揺らす。
「――そんな、僕の事なのに」
ああああぁああああぁあぁ!!!
違う違う!
これって功を焦って墓穴を掘る!?
口は災いの元!?
喋れば喋る程にどつぼにハマってしまいます。
気まずくなった私は、固まっているお兄さんを残し、そろりそろりと逃げ出した。
ミャー ミャー
「うぅ……。トールさん酷い」
4匹の店員は、綺麗なトールさんにうっとりしています。
一匹一匹、色の違うお皿に盛られたご飯を食べてはトールさんを見てうっとり、食べては見てうっとりを繰り返してます。
でも、私はその美しい顔に騙されません。
「聞き出す事まで知ってるのに、お兄さんの前で言うなんて駄目ですよ」
ちょっと強めに言うと、トールさんはにっこり笑った。
「俺、女の子が影で努力してるのを気づかない奴、嫌いだから」
「それはっ 私が勝手にやって……」
すると、トールさんの長い人差し指が私の唇に触れた。