202号室の、お兄さん☆【完】
「ただ、女の子は、男を振り回せば良いの」
そう、言うトールさんは、
魔性で、極上にセクシーで、
艶めいていました。
「鳴海は、もっと自分の感情に正直になるべきだし、皆が皆、腫れ物みたいに扱って、あいつ成長できないだろ?」
あれ……?
私、上手く言いくるめ、られて、る……?
「みかどちゃん、日曜日、頑張ろうね」
やはり、綺麗な人の笑顔ってズルいな。
一喜一憂してる私を、トールさんの笑顔は全て受け止めて、安心させてくれる。
お兄さんには悪いけど、私だってお兄さんや、出会った人々を大切にしたい、から。
怖いけど、前に進みます。
それが、エゴだとしても。
「が、頑張ります。今度は負けません」
トールさんには今の所、全てに置いて完敗中です、がね。
散々、引っ掻き回しトールさんが帰ると、私とお兄さんは気まずくぎこちない時間を過ごしました。
それが、今の私とお兄さんの距離。
優しくされればされる程、真実は遠ざかる。
私の『お父さん』への影を、取り払ってくれたお兄さんに、
私は一体、何ができるのだろう。