202号室の、お兄さん☆【完】
『皇汰は、昔から利発て聡明で、本当に素晴らしい。
代々、楠木家は学者ばかりだが、その血を受け継いでいるな』
皇汰は、お父さんに頭を撫でられて、得意気に笑ってる。

『なのに、お前にはがっかりさせられる事ばかりだった』

私を、蔑んだ目でお父さんは見た。


『聖マリアを補欠入学なんて、恥ずかしいと思いなさい』

皇汰が、某有名私立小学校を合格したから、私の価値なんて下がったんだ。


『父さんも、恥ずかしいね』

皇汰が言った。


『頑張ってる姉ちゃんを否定するなんて、父さん恥ずかしいね。
俺、道徳は学校でしか習えないね。お家じゃ習えない』

そう言って、私の服の袖を引っ張った。




『大丈夫。姉ちゃんなら聖マリアでも頑張れるし、胸もきっと大きくなれるよ』

……あれ?

皇汰、この頃からおっぱい星人だったんだ。


記憶の中の酷い言葉の中に、
必ず皇汰の温かい言葉と、


私の胸への励ましの言葉があった。









「えっ、千景さん! ……俺で良いんですか?」

当時のあどけなさをやや残しつつも、格好良くなった皇汰は、

只今鼻の下を伸ばし中でした。
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