202号室の、お兄さん☆【完】
「興信所の知り合いでもいるの?」
窓辺に立った千景ちゃんは、アルジャーノンの鉢植えをつつき始めた。
「身内に常に、興信所の人に張られてる人は居たよ」
「……興信所の人にとっては、またこのオジサンかよって感じだよね」
経歴とか調べるのは短縮されるから楽だろうけど。
「今の義母は、八股の中で醜い争いをして勝ち残った人だからねぇ」
私も皇汰も、色んな女性にプレゼント攻撃されたり誘拐されそうになったり、大変な修羅場だった。
結局、義母の妊娠したという嘘に騙され、結婚して収まったのだけどね。
「みかどちゃんのお父さん、権威ある学者さんなんだ……よね?」
「頭良くても、女にはだらしなさすぎなんだよね。
俺の母さんも、八股されて出て行ったし」
「うわぁ、壮絶……」
そう言った後、皇汰のそばに座り、両手で頭を撫で始めた。
「大丈夫? 継母に苛められてなぁい?」
たぷたぷ揺れる胸に鼻を伸ばしつつも、皇汰は軽く頷いた。
お父さんの自慢で誇りでもある皇汰を苛めたら、それこそ簡単に家を追い出されちゃうだろうしね。