202号室の、お兄さん☆【完】

「カレーって、一週間は食べれますよねぇ」

お兄さんがにこにこしながら言う。

「福神漬けと沢庵とらっきょうはどれが好きですか?」

「あ、……ウチは福神漬けです」

「じゃあ2日目までは福神漬けで行けますよね。3日目はカツカレ-、4日、5日目はチーズや生卵、飽きてきたらマヨネーズ、納豆、揚げた野菜も美味しいですし、焼きカレーというのも、あ、焼きカレーは福岡の門司の名物でして作り方は…」

あ、あれれ…?
爽やかなお兄さんなのに、
にこやかなのに、
すごいマシンガントークです……。

「お兄さん、お兄さん、みかどちゃん、引いてるよー」

サラダを取り分けながら、千景さんが助け舟を出してくれた。

「鳴海さん、喋り出したら止まらないのよねー。うるさいわぁー」
ニヤニヤ千景さんが言うと、お兄さんは恥ずかしそうに俯いた。恥ずかしそうな顔も、可愛いです。


「だ、大丈夫ですよ! お、お兄さんはカレーは辛口派ですか!? ち、中辛派ですか!?」

お互い、間抜けな質問だし、カレーでこれだけ盛り上がるのも変ではあるんだけど、
お兄さんの申し訳なさそうな顔が胸を痛めるんです。

すると、お兄さんははにかんで、

「甘口が好きです……」

そう、言ったのです。


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