202号室の、お兄さん☆【完】
気合いが入った巻き髪に、普段しない化粧をしている私に、岳リンさんは少し、驚いていた。
そして、今回はコンタクトにしているので、眼鏡もしていない。
「お前、デートってメールしたのは、言葉の綾だぞ……?」
そう言うので、私は下を向いた。
「で、も、これが私の初デートになってしまうから、きちんとしたかったんです……」
そう言うと、岳リンさんは頭を押さえるように髪を掻き、舌打ちをした。
「調子、狂うな。お前」
苛々している岳リンさんには、申し訳ないけれど、更に追い討ちを立てた。
「遊園地、一緒に行って下さい」
勢いよく、駅に貼られたポスターを指差した。
ここの隣りの駅に、隣接して建てられた遊園地だ。ここからでも観覧車が見えている。
「……は?」
「私も貴方も、互いに話があるのは承知の上です。
でも、私の初デートを台無しにはしないで下さい!」
私の勢いに、やや推されている岳リンさんにもう一押しだ。
「初デート、なんです……」
そう、悲しく呟いて、岳リンさんを見上げたのだ。