202号室の、お兄さん☆【完】

さすが、日曜日の遊園地だ。
到着し、中に入ると、人、人、人。
親子連れや、カップルで賑わっていた。

確かにこんなに騒がしく人が多い所では、大事な話に持っていきにくい。
時間稼ぎには持って来いの場所だと思う。

「で? どれに乗りたいワケ?」
入り口で貰ったパンフレットを渡される。

キッズスペース、アトラクションスペース、買い物・食事スペースにカップルスペース……。
作戦なのに、何で照れるんだろう。頑張ってカップルスペースに誘わなければ……!


「じゃあ、先ずはキッズスペースだな」
「え」

パンフレットを奪われ、後ろのGパンのポケットに直された。

「あんた、ジェットコースターとか乗った事あんの?」

「……な、いですけど」

「じゃあ、決まり。キッズスペースのジェットコースターが怖かったら、他の乗り物も乗れねーんだし、先ずは此処からな」
作戦からはちょっと逸れたけれど、意外と私の事に気を使ってくれているみたいです。

ゆったりと会話も無く歩いていたら、親子連れとすれ違いながら、岳リンさんが言った。



「楠木教授と、遊園地とか行った事あんの?」


……。


勿論、


ありません。
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