202号室の、お兄さん☆【完】
「あ、あれなら大丈夫かと」

指差した珈琲カップは、

「…………」

私が回しすぎた為に、撃沈。

「あ、あれは!?」

メリーゴーランド、

「…………」

上下に馬が揺れ、尚且つ回るのが駄目だったらしく撃沈。


ゴーカート…………撃沈。

ミラーハウス、閉所恐怖症らしく拒否。



「あ、の、何なら乗れますか?」

パンフレットを見ながら尋ねるが、ぐったり真っ青な岳理さんは返事が無かった。

カップルスペースに自然な流れで来たが、ミラーハウス、お化け屋敷、3D短編映画、全て見れそうに無い。

甘い雰囲気どころか、俄然良い雰囲気なんてなれていない。



「俺は、良いから……。行きたい所、全部行けば良いだろう……」

「岳理さんも楽しまなきゃ、デートじゃありません。突き放さないで下さい」

そもそも、デートする間柄ではないものの、どんどん顔色が悪くなる岳理さんでは、皇汰の作戦なんて実行できない。


ヴーヴーヴー


「……携帯」
カバンの中のバイブの振動を岳理さんは指摘するから、私は言う。

「出なかったら、見張ってる弟が来ますよ。弱ってる今、絶好のチャンスです」

そう言うと、舌打ちをした。
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