202号室の、お兄さん☆【完】
私のバイト時間は、月曜から金曜の18時から21時の3時間。
水曜と金曜は、午後の講義が、月曜は午前の講義が入ってないので、入る事になっている。
が、
岳理さんとのデートの翌日から、お兄さんがよそよそしいのです。
「こんにちはー」
「はい。こんにちは。今日もよろしくお願いします」
挨拶もそこそこに、お兄さんはキッチンに入り、出てきません。
「お兄さん、お昼食べました?」
「忙しいから、交代で食べましょう」
やんわり、優しく距離を取られる。
日曜日の事、気にしているのかな。
私が、お兄さんには関係ないとか言った、から……?
お母さんの事も、岳理さんの事も話せないし、フラッシュバックの件も結局は分からなかった。
その代償に避けられるのならば、なんとも大きな代償だろう。
水曜は、13時から入って、15時から16時の休憩時間に昼ご飯を頂いている。
一人でお昼を食べて、ロッカーから出ると、お兄さんと定宗さんがテラス席で日向ぼっこしていた。
お兄さんが撫でようとすると、ピシャリと尻尾で手を叩く定宗さん。 何度かチャレンジすると、1、2度なら触らせていた。
けれど、少しでもお兄さんが定宗さんから離れると、じりじりと距離を縮める。
それを、お兄さんは愛しげに見つめている。