202号室の、お兄さん☆【完】
『千景ちゃん、胸が苦しいです。心臓病かもしれません』
そう打って、送信すると、アルジャーノンをテーブルに置いて見つめ合った。
まだ心臓は重く鈍い。
私、やっぱり岳理さんとデートなんてしなければ良かった……?
でも、岳理さんの考えやお兄さんへの気持ちだって理解できたし……。
『大丈夫かー(゜∀゜;ノ)ノ!? 帰ったら部屋に行くね。』
千景ちゃんからはすぐに返事が来た。顔文字まで打ってこの速さ………。凄いなぁ。
トントン
感心していたら、ドアをノックされた。
――千景ちゃん、帰るのも早いなぁ。
そう思って、急いで出たら、
「心臓、大丈夫ですか!!?」
エプロン姿のお兄さんが其処にいた。
「…………」
パタン
そのまま、お兄さんの顔を見つつドアを閉めて、テーブルのアルジャーノンを持ち、窓辺に置いて、またアルジャーノンをテーブルに戻して、電気を消して、電気をつけ直した。
ドンドン
「みかどちゃん???」
な、んで?
なんで居るの!?
「入りますよ」
ガチャリとドアノブが回され、エプロン姿のお兄さんと再び向き合ってしまった。