202号室の、お兄さん☆【完】

「具合、悪かったのですか?」
エプロン姿に上は着飾らないチェックの服。
エプロンを脱ぎ忘れて帰ってきたのかな。


「何で心臓が痛いって分かったんですか?」

「千景さんに送ったメール、僕にも送信されたんですよ」

携帯画面を見ると、千景ちゃんのアドレス変更メールに返信していたのだが、良く見ると、千景ちゃんがアドレス変更を送った人全員に、一斉送信してしまっている。

「!!」

あと、5人ほどにも送ってるよー。知らない人、すみません!
そう思ってあたふたしていたら、お兄さんに腕を捕まえられた。


「熱は……?」

「ひゃっ」

お兄さんが額に手を伸ばそうとしたので、つい、ビクッと震え、目を瞑ってしまった。


「あっ すいません」
お兄さんは慌てて、手を引っ込めて腕を離してくれたけど、顔を見れずに私は横を向いてしまった。


「大丈夫ですから、……帰って下さい」

今は、お兄さんの顔を見ると、心臓が潰れるように重く苦しい、から。

そう言ったら、お兄さんはその場で、両手を下ろし無言になった。





「また、僕には『関係ない』のですか?」

そう、両手を震わして言ったのだ。
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