202号室の、お兄さん☆【完】
「えー! めっちゃ複雑だから今語るのは止めてー。楽しい気分が萎えちゃうー」
千景さんが慌てて話を止めると、お兄さんのお皿を奪って、二杯目のカレーを次ぐ。
「フラッシュバックお越したら大変だし、もっと親密になってから言おうね。身元引き受け人のおばあちゃんが心配するし」
「そうですね。すみません」
お兄さんの頭は、もうホカホカのカレーにいっているので、それ以上は聞けなかったです。
やはり、人にはそれぞれ色々な事情がありますもんね。
私も詮索しないように気をつけねば。
皇汰なんて、全く気にせず、千景さんの巨乳をチラ見しながら、カレーを完食してるしね。
お兄さんは複雑な闇を抱えているから、こんなに繊細で儚げな雰囲気なのかもしれません。
私の悩みなんて、きっとちっぽけなはず。
それに私には、アルジャーノンや皇汰が居てくれるし!
大学に全て落ちて、
お父さんから失望されて、
家を追い出された時は、
こんなふうに、賑やかにカレーが食べれるなんて思わなかった。
ここを紹介してくれた、お義母さんには、少しだけ感謝しなくては。