202号室の、お兄さん☆【完】
「ううっ ……お、兄さんがよそよそし、くて悲しかった、です」

ボロボロ流れ落ちる涙を拭いながら、どんどん心臓が軽くなっていくのが感じた。

ああ……。

心臓が、涙の重さで苦しかったんだ。

溢れた涙は、苦しかった重みをゆっくり流してくれている。


「私、が、勝手な事をしたばっかりに……本当にすみませんでした……」

子どもみたいに泣き出す私を、お兄さんはずっと見つめてくれた。
目を逸らされないって、とても嬉しい。


「定宗さんが羨ましかったんですか?」
クスッと優しく笑うお兄さんに、私は真っ赤になりながら頷いた。
そうしたら、お兄さんの顔がとろけそうに甘く崩れた。


「髪の毛、触って良いですか?」

そう、言われて、私は黙って頷いた。






アルジャーノンが見守る中で、お兄さんと正面で向かい合いながら、髪の毛を結んで貰っていました。

「あのっ 後ろ向いた方が、結びやすくないですか?」

お兄さんは器用に三つ編みをほどきながら、手で優しく解してくれる。

「後ろ姿じゃ、顔が見えないじゃないですか」

うぅ……。
でも、正面は恥ずかしいです。
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