202号室の、お兄さん☆【完】
目で追えなかった流れ星が、
いっぱいいっぱい、次から次へと落ちてきて、
真っ暗だった夜が明るくなったんです。



「お兄さんの笑顔は、とてもほっこりします。温かい、……です」


暗くドロドロした物を洗い流してくれるみたいに。

「何か、照れますね」

そう言って、上手に二つに結んでくれた。


「これしかできないですが」

「あ、……どうしよう」

今、大きな問題に気づいてしまった。
「え?」


「き、今日はもうお風呂に入れません!」

両手で2つに結んだ髪を握り締めながら、泣きそうになってしまいました。


「お兄さんに結んでもらったから、外したくないですっ」


後はお風呂に入って眠るだけなのに、ああぁああ、私の馬鹿。
どうせならお風呂に入ってから結んで貰えば良かった。

またお兄さんの親切を無駄にしてしまう!



「じゃあ、明日の朝、また結びますよ」

「本当ですか!?」

「毎日、結ぶのを僕の当番にしましょうか。
グルーミングは絆が深まる大切な行為ですしね」

お兄さん……。

――私はペットじゃありません。

グルーミングって定宗さんと同じじゃないですか!

ん? 同じ立場なら家族以上って事になるのかな?
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