202号室の、お兄さん☆【完】


千景ちゃんが部屋に戻った音を確認してから、私とお兄さんも部屋へ戻った。

部屋に入ると、外から定宗さんの鳴き声がして、お兄さんが窓を開け、中へ入れてあげている音が聞こえてきた。


悩んでたけど、


少しだけ、距離は短くなった。
距離は近づいたら、心って温かくなるんだね。


だから、皆、人を好きになるんだろね。



――私には、縁の無い……話だけれど。







嗚呼、嗚呼、アルジャーノン。


「お兄さんには定宗さん、私にはアルジャーノン」


今は、それで幸せ。


きっと、幸せ。



だから、だから、アルジャーノン、

お休みなさい。


 
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