202号室の、お兄さん☆【完】
「理人さんと透さんが、マンション側の女性を誑かしてくれたので今は仲が良いのです」
「誑かしてないよ! 全ての女性とは分かり合う必要があるからね」
た、確かにこんなに格好良い人達が居たら、簡単には追い出せないですね。
お祖母さんが、世界一周旅行中の牽制の為に、千景ちゃんが入居しているのだとしたら……。
「どうかしました? みかどちゃん」
「いえ……」
お兄さんは、千景ちゃんのお祖母さんからとても大事にされてるな……と思ったけれど、口に出したりしないようにしておこう。
「でも確かに、幽霊屋敷みたいに草が茫々ですね」
『花忘荘』と書かれた壁も、蔓や苔だらけで凄い事になってる。
「アパートの中は綺麗だけど、外がねぇ……」
「前は、お祖母さんが手入れしてたから、花とか植えて綺麗だったのですが……」
お兄さんが寂しげに、俯いた。
「ふふふふふ」
「?」
お兄さんとリヒトさんが此方を振り向く。
「実は私、高校では園芸委員長をしていたのですよ」
アルジャーノンの為に、園芸をかじっていたけれど、
もしや、
お世話になっている皆さんに、ちょっとは恩返しできるかな?