202号室の、お兄さん☆【完】
奥の草は、リヒトさん達の肩ぐらいまで伸びている。
桑で刈るリヒトさんとトールさんは此方に気づかない程に夢中だった。
だったら、良いかな、と私もまだ草むしりを続けた。
「ややっ ミミズが出たぞー!!」
「――そんな奇襲されたみたいに驚かなくても」
ミミズに飛び上がるドラガンさんに動じず、葉瀬川さんはミミズを遠くへ飛ばす。
「あっ! みかどちゃん、千景さん、土筆(つくし)です! これ食べれますかね?」
お兄さんは頬を土だらけにしながら、土筆を持って微笑んだ。
「凄いっ よもぎもありますよ! よもぎ団子とかよもぎ饅頭とか素敵ですね。土筆はお浸しか天ぷらか卵料理に……」
目をキラキラさせて話すお兄さんに、千景ちゃんはしなだれかかった。
そして、色っぽく上目遣いで言った。
「鳴海さ……ん。胸元に草が入っちゃった。取って??」
ぽよんっと腕に胸を当てて、誘惑する。
「えっえええ!?」
「はやくぅ~」
「ち、千景ちゃん!?」
お兄さんに迫る千景ちゃんは、凄く楽しそ……う。
「おーい、千景女史、暇なら買い出しへ行きたまえー」
遠くの草むらから葉瀬川さんが言った。
「あああぁ、もうまじ効率悪ぃ、皆さん集合ー!」
そこに小さな天才皇汰が、爆発した。