202号室の、お兄さん☆【完】
「一列に並んで、後ろへ進んでいく、そうすれば、まっすぐに草が取れるから。草を刈る人と根っこを取る人に分けるよ」
さすが、頭の回転が速い。
「やぁん。皇汰くんったら素敵ぃ! 皇汰くんは私とペアでしよう♪」
「あっ 千景ちゃん、買い出しはー?」
既に買い出しや昼ご飯の事は忘れて、皇汰の腕にすり寄っている。
「みかどと鳴海さんで行ってきたら?」
ふふーと意地悪に笑う千景ちゃんが、ちょっとだけ憎いです。
「いや、僕はズボンがパジャマだしなぁ……」
やっぱりそれ、パジャマなんだ……。
驚いていると、ドラガンさんがスッと立ち上がった。
「儂が共に行こう」
スーパーで、海苔や具材を買った後、いつぞや岳理さんとバトルしたホームセンターへやってきました。
「土やら肥料やレンガ買うならば、もっと大人数で来るべきだったな」
ドラガンさんが、花の種を吟味しながら、ため息を付いた。
「とりあえず、今日は持てそうな種と肥料だけにしましょうか」
私が、ピーマンの種を取るとドラガンさんの目が光った。
「おお! 花じゃなく野菜にするのか!だったらトマトはどうじゃ」
「葉っぱの匂いが気にならなけれ……」
私が返事をしようと振り返ろうとしたら、突然腕を捕まえられた。