202号室の、お兄さん☆【完】

もの凄い力で引っ張られ引き寄せられた。
「お前っ!」

「……えっ! ……岳理さん!?」
無精髭も無く、髪もオールバックで黒いスーツの岳理さんが私を睨んでいる。いつものサングラスもしたら、大統領を護衛してるSPみたい。

「何で、この前の外人にのこのこ着いてきてるんだっ!」
怒鳴りつけながらも、私を背に隠し、ドラガンさんを睨みつけた。

「お前、この子のストーカーか?」

ピーマンとトマトの種を見ていたドラガンさんも立ち上がる。

「いや。拙者は彼女のお隣のお隣さんじゃ。
お前さん、先日のデートの奴か?」
「!?」
驚いた岳理さんは私を責めるように見る。……先日の間違いは、私は悪くないですよ。

「……何してんだ?」
私の手に持っているピーマンの種を見て、無表情で言う。


「庭を、手入れしてるんです。雑草を抜いたら、野菜を育てようと」
「っち。何回メールしても出ないと思ったら、んな事してたのか」

「い、いえ。岳理さんのメアドは受信拒否設定のままだから、届いてません」

私が慌てて弁解すると、隣でドラガンさんが吹き出した。

「振られておるのに、お主の方がストーカーじゃな」

「ちがっ 違うんです。私、解除の仕方が分からなくて!! ら、lineならどうでしょうか?」
「line……?」
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