202号室の、お兄さん☆【完】
「まぁ、いい。そのlineやらの番号は?」
「……今、携帯持ってません」
岳理さんが、もの凄く重いため息を吐き、腕時計を確認した。
「おじさんに聞く。それより、午後から祖父の法事なんだが、おじさんも連絡が取れないんだ」
あ、法事だからそんなSPみたいな格好なんだ。
そう言えば、葉瀬川さんもジャージの下はYシャツだったけど、もしかして法事の為だったのかな?
「今、男だらけの草むしり大会中なので、帰ったら言っておきますね」
「……ああ」
そう言うと、私とドラガンさんを睨みつけた。
「花壇用の土やら重いだろ? 外に停めてある車まで運ぶなら日曜に届けてやる」
そう言って、外を指差す方向を見ると、高そうな高級車が何台も止まっていました。
「速くしろ。法事に来る親戚の迎えの車だ。速くしないと出発する」
……言い方が冷たくなければ、とても親切で優しい人なのにな。
岳理さんの優しさは気づいて貰いにくいです。
「ありがとうございます」
私とドラガンさんで手分けして、車の後ろに積んでいると、
皇汰が走ってやってきた。
「おいっ 姉ちゃん!!」
「あ、違うからね、岳理さんは」
慌てて岳理さんを庇おうとすると、腕を捕まえられた。
「鳴海さんが倒れたぞ!!」