202号室の、お兄さん☆【完】
『ねぇねぇ、管理人のおばちゃん』
『何かしら、坊や』
『白ご飯には、ふりかけが一番美味しいよね』
『まぁね』
『海苔巻きも、美味しいよね』
『ええ』
『あーあ。毎日白ご飯食べれたらいいなぁ』
『……え?』
「駄目。おばあちゃんの携帯、繋がらないわ」
千景ちゃんが、クッションを壁に投げつけながら、悔しそうに言った。
「どうしよう……」
「多分、会社には一週間に一度、定期連絡してるらしいから、伝言頼んでみる。私に連絡するように」
そう言って、会社へ電話し始めた。
「……所でさぁ」
「うん?」
「何で、本当にその男来てるのよ」
千景ちゃんがまだ警戒心を露わにしながら、岳理さんを見た。
そう。
今日は土曜日。
お兄さんが部屋から絶対に出ないからと、岳理さんが来てくれたのです。
頭にタオルを巻いて、灰色のつなぎを着ています。
まるで、大工さんみたいな本格的な格好なのに、鋭い目つきで、ちょっと不良さんみたいです。
「っち。ババアも使えねーな」
「使えねーだとぉ!?」
「ち、千景ちゃん」
不器用で言葉足らずで、ちょっと言葉にトゲトゲがあるから、岳理さんとの会話は要注意