202号室の、お兄さん☆【完】
「あのさ」
「何ですか!!」
せっかくタコさんにしたウインナーを馬鹿にされるのかと思って、睨みつけると、岳理さんの目は真剣だった。
「鳴海、食べ物の話になると饒舌になるじゃん?」
指のご飯粒を口で舐めとりながら、黙々と言う。
「けど、なんか饒舌になる内容が、貧乏臭いんだよな」
「え……?」
「それって、俺が性格悪いからか、性格が歪んでるからかと思ってたけど」
タコウインナーを眺めながら、岳理さんは続けた。
「こんな六畳で、家族3人で住んでたんなら、それが真実た、な」
「そんな……こと」
カレーの話も、納豆の話も、
生えている食べ物にも詳しかったけれど……でも。
昨日、おにぎりを見つめるお兄さんは、確かに少しおかしかった。
「そんな、過去にまだ、縛り付けられてんのと、
フラッシュバックって、
――どちらが鳴海にとって悪いわけ?」
そう言って、床を強く叩いた。
「俺、鳴海の為にこの4年近く我慢してきたけど、さ。
なんか、馬鹿らしい」
そう言って、立ち上がった。
「岳理さん……?」
岳理さんは、202号室側の壁を睨みつけた。