202号室の、お兄さん☆【完】
「岳理さんが焦る気持ちも分かります! ……義母が関係してるかっもしれな、いのに、父は行方不明だし、千景ちゃんのおばあ、ちゃんは、捕まらないし、フラッシュバックは起こ……っるし。
結局、分からない事だらけで。
こんなに、こんなにっ、お兄さんを思っ、ても、きっとお兄さんは土日は部、屋から出なっ……い気がするのが辛いのも、全部、ぜんぶ分かります……」
嗚咽で何度も何度も、言葉に躓きながらも、涙で声がかすれながらも、これ、だけは伝えたかった。
「私も……私も……」
優しく、て。
表情がくるくる変わって、
いつも一生懸命で、
お魚型ビスケットの良い匂いがして、
食べ物に詳しい、天然な、
「お、兄さんが……好きだから――……」
言わない方が苦しいって思ってた。
けれど、
言った方が苦しかった。
本当のお兄さんは、隣に居るのに。
私は本当のお兄さんから逃げているくせに、そんな簡単にその言葉を吐く、なんて……。
私がうずくまり、茫然としていたら、ゆっくりと、部屋のドアが開いた。
「うるさいんだけど、2人とも……」
それは、漫画を片手にした、
葉瀬川さん、だった……。