202号室の、お兄さん☆【完】

千景さんは色んなお店に連れて行ってくれた。
安くて可愛い洋服のお店(102号室の人がデザイナーしてるらしい)や、前髪と眉毛だけ整えてくれる美容室、可愛い靴やアクセサリーのお店。

……どこに行っても、私は千景さんの妹に間違えられたけどね。
4月で二十歳の千景さんとは、1歳しか違わないのに……くすん。


「ねぇ、昼ご飯遅くなったけど、オススメのカフェがあるの。少し歩くけど、行っていい?」
「うん!」
ササッと歩く千景さんの後を慌てて追う。
3月の終わりは、春休みだからか平日でも人が多かった。

人にぶつからないで歩く千景さんは、……格好良い。
でも私は……。
チラッと見たショウインドウに映る私は、千景さんと違って、
地味で目立たなくて、可愛くなかった。

色んなお店の人に、フレンドリーに話しかけててもらって、花のように綺麗さが咲き乱れる千景さんが羨ましかった。



「ほら、ここ、ここだよー」


案内されたのは、少し街からは離れた場所にある、カフェ。

大きな対となる、銀杏の木がカフェの左右に生えていて、涼しそうな日陰ができていた。


木でできたアットホームなカフェで、外のテラスにも木の屋根があり、黒のテーブルと椅子が二組置かれていた。



ミ"ア"~

どこからか、低重音の獣の鳴き声もする。
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