202号室の、お兄さん☆【完】
『花が咲かないサボテンなんて、要らなーい』
アルジャーノンは何十年も待ち続ければ、花は咲く。
私は、……私は自分で変わらない限り、花なんて咲けない。
『お前にはがっかりさせられる』
否定、しかされなかった。
否定、しか知らなかった。
『みかどちゃん』
真っ暗でドロドロした感情を、あなたの笑顔は、優しく消し去ってくれる。
『土日は、外に出られない、からー……』
私に光をくれた、人。
私も、あなたの事が知りたい。
それが、どんなに辛い過去だとしても。
全てを知った上で、あなたが好きだと思いたいの。
「みかどちゃん」
それってやっぱり、
「みかどちゃん?」
我が儘なのかな?
「おーいっ」
「ひゃっ!!」
目の前に、たった今まで考えていた、お兄さんの顔が現れた。
「今日はずっと、ぼーっとしてるけれど、大丈夫?」
あっ……!
いけないっ。
今は、バイト中でした。
「19時ぐらいからは忙しくなるから、疲れてるなら休んでてね」
「大丈夫です」
心配してくれるお兄さんに慌てて否定すると、優しく笑ってくれた。そして、ロッカールームへ何かを取りに行った。
戻ってきたお兄さんは、植物図鑑を持っていた。
「あの、この植物図鑑ですがー……」