202号室の、お兄さん☆【完】
「…………」
「あの人に、顔はそっくりなのに正反対。優等生なあの人と違って、アナタって、本当に見ていてイライラするわね」
久々の再会なのに、最初から毒々しい。
――まぁ、こんな事は日常茶飯事だったので、もう慣れてしまったけれど。
「こんな、Fランクの馬鹿大学の教授の癖に、葉瀬川っていう生意気な教授に一言言いたくて、出向いてあげたのよ?」
真っ赤な爪をうっとりする様に眺めながら、お義母さんは言う。
「葉瀬川さんは、今は講義中ですし、アポも無く来るなんて非常識です」
「あなたが私に意見しないで頂戴」
ピシャリと言われ、睨みつけられる。
「あなたみたいなクズが、あの人に連絡させる様に、『葉瀬川』って人に頼んだのね?
無い頭で、良く考えたわね」
毒を吐くのはスラスラでるし、私の反応に楽しんでいるのは分かる。
けれど、同時に言葉の端々から苛々も見られ、八つ当たりされているのも分かった。
――葉瀬川さん、本当に連絡してくれたんだ。
「あなた、追い出したけれど、私の監視下に居る事には変わりないのよ? あまり調子に乗らない事ね」
勝ち誇って、妖艶に笑う義母に、私は何も言い返す事はせず、時が過ぎるのを待っていた。