202号室の、お兄さん☆【完】
「私は、慣れてるし元から嫌われてるんで大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろ」
すかさずそう言われた。
岳理さんは不機嫌そうに、此方を見た。
「そうやって、自分だけ我慢するとか、お前馬鹿?」
「なっ!!」
「ちょっとっ お二人さんっ」
学食にいた数人の学生たちが、チラチラと此方を伺い始めた。
注目を浴びてしまったみたいです。
「あんた、携帯貸せ」
「……あんたじゃありません」
馬鹿とか言われたのに、笑顔で貸すと思ったのか!、と怒鳴ってやりたいです。
「みかど、貸せ」
しかも、呼び捨てですか!
私はそっぽを向いて、拒否しました。
「貸しません……ってドロボー!!」
岳理さんが素早く鞄から、携帯を盗み手に持ち、上にかざしました。
「……みかど、暗証番号に0を4つは馬鹿だろ」
「また馬鹿って言った!!」
背伸びして、携帯を奪おうとしても、届きません。
悔しい!!
「受信拒否設定、解除したから」
作業を終えてらしい岳理さんが、ぽいっと携帯を投げ返してきた。
何でこの人は、1つひとつの動作が乱暴なんだろう。
「――おじさん、まだかかる?」
学食中央で、未だ談笑中の葉瀬川さんに声をかけた。
「いや、もう行こうか」
葉瀬川さんはにこやかに言った。