202号室の、お兄さん☆【完】

階段の一段一段が、石で出来ているから、広くて高くて、登るのに、苦労しました。

ただ、石の階段はひんやりしてるから、涼しかったのが唯一の救いです。


「うわっ……」

到着した頂上には、ご年配の団体客がちらほら見えます。

広い……。

大きな木造の門をくぐり抜けたら、遥か向こうに本堂が見えました。団体客の誰かが鐘を鳴らしたりお賽銭を投げているのが、微かに分かるぐらいです。

販売所も人が多いし、1つひとつの建物が、趣があり美しいです。

「こっち」

桜の木を何本か通り過ぎ、またまた大きな門をくぐり抜けました。
地面は石が敷き詰められ、歩く度に何とも言えない響きが聞こえてきます。

「こんなに大きなお寺だったんですね。目が回りそうです」
「……古いだけだ」


そう言っているうちに、松や椿、池などがある広い庭を横切ると、小さな温室が有りました。

……小さいと言っても、この寺の規模が大きすぎるだけで、普通の家にあれば大きすぎるとは思います。

温室ってビニールハウスを想像していましたが、ガラス貼りの、植物園のような綺麗な建物で更に驚きました。
< 195 / 574 >

この作品をシェア

pagetop