202号室の、お兄さん☆【完】
大きいのは、30センチは超えています。
数えたら、8体もビックアルジャジーノンが居ました。並んでる姿は少し怖いです……。

「馬鹿みたいに大きいくせに、花は小せぇだろ」

「ば、馬鹿じゃないですよ! 大体、このサボテンさん達の方が年上なんですから、もっと敬って下さい!」

金鯱のサボテンは、花は可愛いらしくないと植物図鑑に載っていましたが、ちっちゃい黄色い花がポツポツ咲いてます。
体に似合わない小さな花は、対照的で私は、可愛いと思います。



「ちっせぇ時に、此処におじさんに閉じ込められてさ」

急に思い出したのか、苦々しく舌打ちをしました。
葉瀬川さん、意外とお茶目ですね。

「2メートルあるあのサボテンが今でも動き出しそうで、怖くてさ」
「泣いたんですか?」
「…………。それ以来、閉所が駄目になっただけだ」

泣いたかには返答頂けなかったけれど、閉所恐怖症のトラウマがサボテンにあったとわ!


「それは、可哀想ですね」
「お前、顔笑ってるぞ」

急に、ほっぺをつねられてしまい、キッと睨みつけました。
慌てて暴れて離れたせいで、髪がちょっと乱れてしまいました。

「昨日と同じポニーテールだけど、三つ編み卒業したワケ?」
土も入ってない花壇に腰掛け、煙草に火をつけながら、偉そうに聞いてきました。

「最近は、……お兄さんが結んでくれるから」
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