202号室の、お兄さん☆【完】
今日も、お店はお休みなのに眠たそうな細い目で、結んでくれました。寝癖のついていた髪は、可愛かったなぁ……。

それに、千景ちゃんに編み込みを習ってマスターしたので、お洒落にしてます。

「お兄さん、お兄さん、うぜぇ」
「なっ 自分が聞いたくせにぃ!!」

ポケットから携帯灰皿を取り出すと、乱暴に煙草の火を消した。


「鳴海にとっては、202号室は『温室』だな」

フーッと息をかけられたので、慌てて首を振って煙を追い払う。


「そんなに温かくもねぇのに、ずっと温室でしか生きられない」

「それは! お兄さんが自分から入ってるわけじゃないです! 監禁した相手が居るんです」

「――本当に? 嫌な事から逃げてるだけかもよ」

「き今日は、やけに突っかかってくるんですね!
岳理さんの方がトゲトゲのサボテンみたいですよ!」

むーっと威嚇して睨むが、待っていても舌打ちはされなかった。


「俺は、みかどを見ると苛々するだけだ」


……あ。

ちょっとだけ、胸が痛い、です。


「別に、言われなれてます……」

お義母さんから。

昨日のお義母さんの言葉が脳裏を横切る。



「あんなババアと一緒にするな」

そう言って、隣に座るように花壇をトントン叩かれた。
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