202号室の、お兄さん☆【完】
「本当に何もされてない?」
「岳リンは手が早いからなぁ」
リヒトさんとトールさんに挟まれる感じで、私は今座って居ます。
縁側には、美しい葉桜が見え、池には鯉が泳いでいます。
そして、それを目を輝かせて見ているのは、ドラガンさん……。
早く帰りたかったのに、この三人のせいで、この部屋に連れて来られました。
畳が50畳はある広い広い部屋に、テーブルがぽつり。
後は庭しか見るものがありません。
岳理さんが、お茶を用意してくれている今、こっそり逃げ出したいのに。
「2人は、岳理さんとどういった関係ですか?」
寛ぐ2人に聞くと、あっさり教えてくれた。
「中卒の俺らに大検受かる様に家庭教師してくれたんだ。参考書とかもくれたし」
「PCでデザインするから詳しいやり方も教えてくれたよ。 あ、この前借りたベンツは岳リンのだよー」
うわぁ……。
「今は、岳理さんの好感が上がる話は聞きたくないです……」
何で岳理さんの良い一面を知らないといけないんですか。
「そこは、好感度上げとけよ」
不機嫌そうにお盆を持って登場しちゃいました。
逃げ出すチャンスが……。