202号室の、お兄さん☆【完】
「きゃああ! すごーい!!」
年上の方への敬語も忘れてハシャいでしまいました。
透明な硝子の中に黒い文字で、花忘荘と書いてたり、
文字だけ立体的に飛び出してたり、
リヒトさんが好きそうな蛍光ピンク、トールさん好みの黒曜石か!っとばかりに磨かれた黒い表札、一画数に色を変えたレインボー表札には笑ってしまいました。
「文字の色は此処で変えられるよ」
ipadをリヒトさんの美しい長い手がスライドさせる度に、胸が高鳴ります。
「アルジャジーノン……」
横向きに『花忘荘』と書かれ、右横にアルジャジーノン、左側にお花をデザインした表札に目を奪われました。
「やっぱ、みかどちゃんならそれを選ぶと思った♪」
「みかどちゃんが頑張ったから、花忘荘にまた花が咲くんだ。だからみかどちゃんが喜ぶデザインにしたくて、な」
きゃー!!
2人ならば、幾らでも好感度あげても大丈夫です!!
というか、先ほどまで岳理さんにドキドキしていたけれど、
イケメン2人に左右に囲まれると、また違ったトキメキが生まれます。
おかげで少し落ち着きました。
するとドラガンさんも甚平の裾から何か出しました。
「儂のデザインじゃ」
蒲鉾板に筆で達筆に書かれた表札……。
嫌い月間中なので、生暖かい笑顔を向けておきました。
……この人も、喋らなければ王子様みたいな容姿なのになぁ……。