202号室の、お兄さん☆【完】
お手洗いを借りて廊下に出ると、先ほど言っていた岳理さんの部屋が開いているのが見えました。
「え?」
こんな日本風の作りの家なのに、この部屋だけフローリングだ!
物は少なくて、ベッドと机のみ。眠るだけの部屋みたい……。
机には、三台のパソコンとモニターがあります。
そして、……?
何故か日本酒らしき瓶が2本。
これが、差し入れかな……?
持ち上げて確認しようとすると、後ろで物音がした。
「……此処、俺の部屋」
襖に背もたれし、腕を組んでいる――岳理さんが居ました。
「みかどの事だから、迷子になってると思った」
……探しに来てくれたんだ。
「それか、逃げ出したとか」
ビクッと体を揺らして、肯定してしまいました。
岳理さんは深い溜め息を吐いて近づいてきました。
な、何でだろう。
そばに来られると、身構えてしまいます……。
何故か、少し怖いです。
ちょっと、距離を開けつつ机の上のお酒を手渡しました。
「こ、これ、住職さんから差し入れみたいです」
「親父が?」
お酒を受け取ると、岳理さんの顔色が変わりました。
「あんの、くそじじい」
お酒を持って飛び出そうとすると、
「「あ、此処に居たんだ」」
リヒトさんとトールさんも入って来ました。