202号室の、お兄さん☆【完】
――そして、
突如昼間から、宴会が行われてしまいました。
泣き上戸のリヒトさんに、
甘えん坊のトールさんに、
様々な方言を喋るドラガンさん。
そんな騒がしい皆さまから、逃げられるワケもなく……。
冗談でも、門限を言ってくれた千景ちゃんに感謝しなければ……。
門限が無ければ、もっと帰るのが遅くなったかもしれません。
泣くリヒトさんを慰めつつ、甘えるトールさんを岳理さんに押し付けつつ、ドラガンさんの舞『敦盛』から、本能寺の変ごっこ(?)が始まり、気づけば空はどっぷり真っ暗になっていました。
酔っ払った三人を、転がすように石垣の階段を下りさせ、なんとか車に押し込みました。
……その頃には、三人はぐっすり夢の中でした。
「あのお酒、一口も飲まなくて良かったんですか?」
岳理さんへの差し入れだったのに。
「お前、それ以上喋るな」
苛々した岳理さんが車を急発進させました。
後ろで三人がぶつかり合う音がしましたが、起きませんでした。
「来週、時間決まったら連絡しろ」
「へ?」
「楠木教授の件だよ。俺が話すから、帰ってきたら連絡しろ」
……何で偉そうに命令するんですかね。