202号室の、お兄さん☆【完】

カフェの入り口を塞ぐように止まっているリムジンに圧倒されながらも、私は管理人さんの後ろを歩いた。

お兄さんには、運転手さんが何か話しかけています。


「あの、明日時間頂けませんか? 私!」

そう言い終わる前に、管理人さんは華のようにふんわり笑った。


「明日は、最初から貴女と話す時間を空けていたの」
「えっ」

「貴女の義母や、鳴海さんの事でしょう?
私もしっかり伝えておきたいわ」

「本当ですか!?」

「ええ」


やはり、全てを見透かしているかのように、余裕を浮かべた微笑みだった。



「明日、花忘荘へ迎えを出すわ。ゆっくり話ましょうね」

そう言った後、すぐにお兄さんへ駆け寄った。

お兄さんも、管理人さんをまた抱き締めると、今生の別れかのように寂しそうな表情を浮かべました。

2人は、ずっと抱き締めあいながら、何か話をしているので邪魔しないよう、カフェの中へ避難しました。


カフェの中に溢れたお土産を、冷蔵庫や持って帰るものや、色々分けて片付けようと思います。


……花忘荘1人ひとりに莫大な量のお土産がありました。


分けて持って帰るとしても、私とお兄さんじゃ何日かかる事やら……。
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