202号室の、お兄さん☆【完】
その後、千景ちゃんが駆けつけてくれたので、私と皇汰はもう1往復する事ができた。
だが、段ボールはまだまだ溢れ返っていた。
お兄さんが仕事を終えるのは10時を過ぎます。
その後は、2時間もせずにお兄さんは監禁されに自室へ戻る。
……そう考えたら、今日中の移動は絶望的に無理です。
『み"ゃああー』
定宗さん達は、管理人さんから頂いた新品の首輪をし優雅に店内を歩き回っています。
ああ、猫の手も借りたい。
いいや、定宗さんの猫さんを統率する営業力が欲しいです。
正に猫の手が借りたい状態……。
2往復目のカフェへの帰り道、カフェの死角に見たことあるような、ベンツが見えました。
「……皇汰、ちょっとこっちから行こう」
「えー!? 何で回り道すんのさっ」
……皇汰が大きな声を出すので、ベンツの窓が開いてしまいました。
嗚呼、……皇汰の馬鹿。
「早く、段ボール持って来いよ」
しかも、既に情報は通達済みでした。
「岳理さ……」
「あれー、ラッキー、岳リンも来てるー」
呑気なこの声は、葉瀬川さん……?
「なんじゃ……、儂ら出番無いかのう……」
ドラガンさんの声もします。