202号室の、お兄さん☆【完】
「はい。やはり美味しいです」
子どもみたいにチョコレートを噛み締めるお兄さんは、見とれるぐらい可愛くて、でも綺麗で、無邪気でした。
今日は何だか、先に帰りたくなくて、閉店まで手伝いました。
段ボールを抱えて、星空を眺めながら、帰路に着く。
いっぱいお喋りしました。
いっぱい笑いました。
夜は少し冷えて寒くても、お兄さんの笑顔は暖かくて、闇を吹き飛ばすぐらい明るくて、そして寂しかった。
花忘荘の2階に上がり、お兄さんは私に言いました。
「おやすみなさい」
そう言って、
パタンと、
ドアが閉まりました。
簡単に、閉まりました。
その瞬間から、お兄さんの世界から私は消える。
次の月曜日まで、私の存在は消えるんです。
それは、寂しくて悲しい現実。
明日、明日全て真実を聞いたとして、
この狂った日常を非日常に変えれるだろうか。
変えたいから、変えて良いでしょうか?
全ては明日から、始まるんだ。