202号室の、お兄さん☆【完】
彼女は、私が鳴海さんに執着していると思い、それを逆手に取りました。
……後から分かったのですが、借金で回らなくなっていた様で、大金が欲しかったみたいです。
お姉さんの真絢さんを、子供の居ないお金持ちの家へ養子に出しました。
――莫大なお金と引き換えに。
「彼女は鳴海さんにこう言ったの。『お姉ちゃんは死んだ。勝手に家を出たから死んだの』
そう言って、花忘荘の庭に土をかぶせただけのお墓を作って鳴海さんに見せましたの。
『鳴海は勝手に出て行かないわよね? 出て行ったらお姉ちゃんの様に死んでしまうわよ』と。
毎日毎日、墓の前で言っていたらしいわ」
そう言って、私に会わせないように部屋に閉じ込めた。
土日は、男とのデートで家に帰らない。だから鳴海さんを土日は決して外に出さないように、毎日毎日、ゆっくり洗脳していった。
「確かその頃からかしら……夜中、花忘荘から子どもの泣く声がよくしていて、近所から苦情が来ていたようね。
幽霊だと恐がる人がいたけれど、真相は、お姉ちゃんの偽物の墓の前で泣く鳴海さんだったのですけどね」
そして、悲劇が起こった。
私の夫が亡くなったのと、
それを聞いて、病院に向かう先で事故にあった彼女が亡くなる日が、被ってしまったのが。