202号室の、お兄さん☆【完】
「せ、宣戦布告に来ました!」
「はぁ?」
「私、貴女に利用されるつもりはありません!!」
い、言ったぞー!!
遅めの反抗期ほど、面倒なんだからなー!!
お義母さんは、キョトンとしていたが直ぐに見下した様に笑った。
「何を?」
「202号室のお兄さんに、近づかせないって言うんです!」
すかさず鼻息を荒くしながら私が言えば、義母は、つまらなそうに言う。
「あら、あんた知ってしまったの? 鳴海は元気にしてる?」
そう聞かれるが、答えてやるもんか!
「お兄さんに近づく目的も、父と同じでお金ですか!?」
「……酷いわ。お金なんて」
そう言いながらも、顔は笑っていた。
「大切な弟ですもの。心配して何が悪いの?
岸六田不動産が目当てなワケ、ないでしょ?」
「岸六田不動産は関係ありません!」
「何をムキになってるのよ、馬鹿みたい」
義母は、美音さんが持ってきた薬を飲み干すと、唇を舐めて怪しく笑った。
「岸六田不動産の女社長が亡くなれば、鳴海にもいくらか入って来るんでしょう? 鳴海に管理なんて無理だろうって、心から心配しているわ……」
やっぱり!
私が相手だと舐めてかかってペラペラ喋る!
「唯一の姉弟ですもの。簡単には縁は切れないわ……」
一瞬、義母の後ろにお兄さんのお母さんの影を見た。
多分、そっくりこのままの人、だったんだろうな。