202号室の、お兄さん☆【完】
「絶対に近づかせません!
お兄さんは利用させませんから! この年増!」
「若作り!!」
「財産目当ての、下品な胸!!」
「よっ、垂れ乳!!」
……皇汰が合いの手のごとく、私より酷い暴言を吐いてましたが、義母は私だけを睨みつけてました。
「じゃ、皇汰、来週また来るね」
「ちょっと! 調子にのってんじゃないわよっ」
「うん。なんかよく分かんねーけど、落ち着いたらメールしてな」
「無視するんじゃないわよ!」
鬼の形相で睨む、お義母さんを横目に私は家を出た。
追い出されるまでは、お義母さんからの、
劣等生だの、楠木家の恥だの言われた暴言や、
皇汰だけにむける笑顔や優しさに胸を痛めていたけれど、
もう痛める事はない。
私は、負けない。
私を分かってくれない人に、
私の何を悪口言えるのか。
お兄さんがどんな気持ちで生きてきたかも知らずに、
お金目的で監視していた人に、情なんてわかない、から……。
閑静な住宅街に突如響くバイブ音。
ヴーヴーヴーヴーヴー
震える携帯を開けば、相手は……。
『孔礼寺 岳理』
私は、そっと携帯の電源を落として、1人で歩き始めた。