202号室の、お兄さん☆【完】
「……はぁ」
花忘荘に戻りたくなくて、友達2人にメールしたが全滅だった。
……嫌でも月曜には顔を合わせる。分かっているけれど、気持ちは正直だった。
は、初めてですが、漫画喫茶で泊まってみよう!
そう思って漫画喫茶に行くと、
「あっ」
「あー…」
葉瀬川さんに遭遇してしまいました。
漫画あるところにこの人有り、です。
「駄目だよー。中学生が1人でこんな所に」
「ちがっ! 私は大学生です! 葉瀬川さんの講義も取ってます!」
そっぽを向いて、葉瀬川さんの横を通り抜けようとしたら、三つ編みを引っ張られる。
「痛っ」
「帰りたくないの?」
「…………」
気まずくなって俯くと、葉瀬川さんは「んー?」と首を傾げた。
「岳リンに電話しよっと」
「か帰りたくないです!」
携帯を取り出してそう言った瞬間、反射的にそう言ってしまいました。
「じゃあ、私のマンションにおいで」
「え?」
「高級マンション最上階、私のお城においで」
な……。
「良いんですか?」
今の私は藁にも縋りたい気持ちなのですよ!
「いいよ」
葉瀬川さんは、理由も聞かずにOKしてくれました。