202号室の、お兄さん☆【完】
「住職なんて、1ミリも、岳リンの鼻くそほども興味無いよ」
「でも、お祖父さんに後継ぎ指名されたんですよね」
「んー……。面倒だけどねぇ。
私は幼少から手塚治虫先生の影響で『死』やら『生』やらに興味あったからね、住職である爺様の考えを聞いただけなんだ」
「幼少時代に?」
なかなか大人びた子どもだったのが、何故か容易に想像できました。
「そー。そうしたら爺さまは私が住職に興味があるのでは?と勘違いして、勝手に指名して死んじゃうしー」
そう言った後、急に優しい眼差しになった。
「お寺はね、ずっと岳リンが継ぎたかったの知ってるし、尚更興味出ないよ。
でもずっと日陰扱いだった分家が殺気だって、私を祭り上げるから、本っ当に良い迷惑だったなー」
「だからマンション買って、逃げたのですか?」
「うん。爺さまがくれた遺産でね」
何気なく言うので、ドキドキしながらカマをかけてみました。
「わ、わざとピエロになったんですか?」
そう言うとビールを飲む手を止めた。
「岳リンが言ってたの?」
感情が読めないので、少し慌ててしまいます。
「はい、でもあの、岳理さんは文系の葉瀬川さんはもう後継げないシステムを作ってますが、それは、多分、葉瀬川さんが嫌いだとかじゃなく」
「うん。分かってる」