202号室の、お兄さん☆【完】
「んー……。なんか疲れた」
葉瀬川さんは伸びをすると、眠たそうに欠伸をしました。
……私もドッと疲れましたよ。
「もし、だよ」
「はい」
「もし君が、出張へ行く私の、3日分の用意をしてくれたら」
「は、はい!?」
「3日間は此処、好きに使っていいよー」
そう言って、食べたお皿をシンクにつけた。
「い、いいのですか?」
「ん。お皿も洗ってね」
私は頷いて、急いで残っているご飯をかけ込んだ。
図々しく甘えちゃって良いのなら、まずはゆっくり自分の気持ちを整理したい。
此処なら束の間の安らぎにはなります!
「よ、よろしくお願いします」
「あ、岳リン?」
「!?」
私が頭を下げてお願いした瞬間、葉瀬川さんは携帯を握って話し始めた。
「んー…? 花忘荘の前に来てる? 私はもう眠たいのだけどー……。
みかど女史の部屋に電気が点いてない? ……君、ストーカーかい?」
が、岳理さんがすぐそばまで来てる!
ど、どうしよう……!
まだお兄さんの過去とか上手く説明できないよ。
私だってまだ整理できてないのに。
それに、今、会ってしまったらー……。
私が必死で首を振って、葉瀬川さんに合図した。
――お願い! 此処にいる事はまだ秘密にして!!!