202号室の、お兄さん☆【完】
「帰ったら、君に連絡するよ。明日から出張だから、もう寝るよ」
そう言って、岳理さんの返事も待たずに携帯の会話を止めた。
「うむうむ。悩みたまへ」
真っ赤になって泣きそうな私の顔を、いつも通りなアンニュイな表情で見つめてくる。
頭を数回ポンポン叩いた後、おやすみーっと寝室へ向かう。
私は、窓に寄ってカーテンを開けた。
35階からは、真っ暗な下はよく見えませんでした。
ごめんなさい。
今、岳理さんに会ったら私、きっと甘えてしまいます。
余りに辛いお兄さんの過去に、押しつぶされて、負けて、
……岳理さんに慰めて貰ってしまう。
だから、会えません。
強く、ならなきゃ。
過去を聞いたのは私なんだから。
監禁から救いたいと、エゴを押し付けているのも私だから。
カーテンを閉めて、残りのご飯を頂きました。
お皿を洗って、リビングのソファに横になる。
今はまだ、……1人にさせて下さい。