202号室の、お兄さん☆【完】


酷な事を言っていると思います。

母親に姉は死んだと嘘をつかれ、マインドコントロールされ、

畳さえ食べたくなるぐらい飢えた三週間。


忘れていいなら、忘れても、……良いかもしれません。

でも、

それではいつまでも過去から逃げなきゃいけない。


脅えて、震えて、

――閉じこもって。


土日が来るのに脅えて。




『それを買えばお前の成績は上がるのか?』

『お前には本当にがっかりさせられる』

『咲かないサボテンなんていらない』

『勉強ができない奴はこの家に要らないんだぞ』


ぐるぐる、します。
気持ち悪い、です。

吐いて楽になるなら吐き出したいけれど、でもそんなの違うから。



「お兄さん……」

「みかどちゃんは、僕がおかしいって思うのですか?」


悲しそうな、傷ついた様な、子犬のようにすがりつく瞳。
そんな瞳で私に言った。


「お、おかしくないですっ。でもでも、土日に閉じこもってしまうお兄さんはおかしいです! 変です!」

「…………」


「土日がカフェは稼ぎ時なのに、休みってやっぱりおかしいし、ずっと部屋にいるなんて勿体無いですし!」

「……そこですか?」
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