202号室の、お兄さん☆【完】
お風呂上がりなのに、顎に髭があって剃ってない事に笑ってしまいました。
――よし、帰ろう。
会えただけで良かったし、少しだけ見れて元気が出たから。
そう思って、こっそり池の死角や岩に隠れ帰ろうとしていたら、
ヴーヴーヴーヴー
「きゃっ」
け、携帯が鳴って驚いてしまいました。
慌てて落とした携帯を、手探りで探していると
「――みかど?」
「っ」
気づかれて、……しまいました。
すぐに立ち上がり後ろに下がると、裸足のまま縁側を降りた彼が、此方に向かって来ます。
手には携帯。
もしや、携帯を鳴らしたのは……。
じりじり下がりながら携帯を見つけ、確認すると
『孔礼寺 岳理』
とはっきり表示されていました。
「お前、こんな時間にどうした?」
心配してくれている岳理さんが近づいてくるのが、怖くて、
でも何で怖いのか分からなくて、
私は踵を返し、慌てて逃げ出しました。
「みかど!」
お、追いかけないで下さい!