202号室の、お兄さん☆【完】
「何ですか? お兄さん☆」
私がにこやかに誤魔化すと、お兄さんは目をパチパチして驚いている。
「あの、ゾウサンジョウロを頭に被ってどうしたんですか?」
「……っち」
余り凝視されないように2人の間に割って入る。
「わわわ私めが、躓いて頭に被せてしまったんです!
お兄さん、マルゲリータとエスプレッソとデザートにチョコパフェを!」
なるべく時間がかかる注文をお願いし、キッチンに押し込みました。
「大丈夫ですか? カフェオーナーである僕も謝罪した方が……」
「大丈夫です! シャイな方なので私が接客しますから! どうか、こんがりじっくりマルゲリータを!!」
何とかキッチンへ運び、慌ててテラス席に戻ると、不機嫌そうな『迷』探偵さんが座ってらっしゃいました。
テーブルには、ピンクのゾウサンジョウロが置いてありました。
「捜査中に何でガッツリ食べなきゃいけねーの?」
「ば、か馬鹿馬鹿! か帰って下さいよ!」
そう言うと、徐に煙草を取り出して、睨まれました。
「テラスは吸っていいのか?」
「聞く前に、火を付けないで下さい。どーぞ!」
そう言って、中の入り口付近から監視する事にしました。
本当に!!
昨日の人とは別人みたいです!