202号室の、お兄さん☆【完】
煙草を吸っている背中が、腹立たしいです。
今お兄さんがフラッシュバック起こしたらどうするんですか!
「みかどちゃん、エスプレッソお願いします」
「はい! はーい!!」
元気よく振り返って、お盆に乗せました。
「みかどちゃん」
「はい」
「……隠し事、してませんよね?」
してない訳ありませんよ。
しまくりですよ。
ちょっぴり切ない顔しないで欲しいです。
「ちょっと待って下さい」
やっぱり隠し事したくないし、嘘もつきたくない、から。
岳理さんには帰って頂こう。
「嫌だ」
呑気に定宗さんと尻尾で攻防を繰り広げていた岳理さんは、あっさり却下しやがりました。
「お、お兄さんが倒れたらどうするんですか!」
「倒れたら、倒れた時だ」
「ですから!」
「みかどちゃん、スプーンを」
カランカランとお店のドアが開いたと同時に、岳理さんの顔をお盆で隠しました。
「スイマセンっ ありがとうございます!」
不自然にお盆で隠された相手に、お兄さんは首を傾げました。
「こ、の匂い……」
「へ?」
お兄さんが呆然と目を見開き、右手で顔を覆いました。
「――John Player Special」