202号室の、お兄さん☆【完】

「みかど、ちゃん……?」

「こ、こんな壁があるからいけないんです!!
今、出てきたとしても、また土日に閉じ込められてしまうなら、
もう出てこなくて良いです」

「……?」


「無理矢理、引っ張り出しますから!!」

そう言っている間に、皇汰が油性ペンで壁に×印を描きました。


「みんなで此処を目掛けてやろう。一番硬度が低いと思う」


「じゃあ、壁砂が酷いから私は窓を開けよう」


「儂は、202号室のドアを開かないように外からドアノブにほうきを巻きつけといたぞ」


「じゃあ、俺は途中までハンマー取りに行ってくるよ」

「リヒトが行くなら、俺はビニールシート敷こう。みかどちゃんの部屋が汚れるしね」


「おい、定宗も手伝え」

皆さんは、腕まくりをすると張り切って作業を再開してくれました。

皆さん、楽しそうにワイワイやってるのは、お兄さんをイジメたいわけではないんです。

皆さん、同じ気持ちなんです。

どうか、どうか……、
その気持ちがお兄さんに伝わりますように。


「みかど、手ぇ痛くなるから軍手しろってよ」

千景ちゃんがピンク色の可愛い軍手を渡してくれました。


「なんか、もっと大惨事になるかなって思ってたのに」

格好良く、口でキュッと軍手をはめて諦めたように笑いました。
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