202号室の、お兄さん☆【完】
じりじりとお兄さんが近づくが、定宗さんは川を横目にまだ逃げようとします。
川は、もう少し右に行けば橋が見えたので、私は右側に立ちました。
ひょいっ
「「あっ」」
定宗さんは重たい身体で軽やかにジャンプして、川へ飛び込みました。
「「あぶなーいっ」」
そして、お約束かのように私とお兄さんも、川へ飛び込みました。
バシャバシャ
「いたたたたっ」
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、きゃあああぁああ!!!!!」
なんと!
私は、とっさに庇ってくれたお兄さんの上に座っていました。
絵本、『大きなかぶ』的に説明しますと、
お兄さんが私をだっこして、
私が定宗さんをだっこして、
定宗さんが口にビスケットの入ったビニール袋を加えて、
うんとこしょって……
違うぅうううぅうう!!!!
「すいません! すいません!!お兄さん、お怪我は!?」
私が定宗さんを抱きしめよろけながら立ち上がると、お兄さんはポカーンと私を見ました。
そして、ゆっくり、
「あっっははははははは!」
空を見上げて笑い出しました。